イーニド
「泣かれる、かなあ」
「そう思う理由が気になるな」
「こちらが意図していないのに恋人が泣き出すということは、僕は再び意図せず彼女を泣かせる可能性があるということじゃないか。彼女にとっては害悪そのものじゃないか。彼女の隣にいること自体が、罪だと思わないか」
「そうかも知れないね。僕は昨日、彼女を泣かせてみたくて罵倒してみたんだ。彼女は泣かなかった。その代わり、僕にガラスの灰皿を投げつけて、出ていってしまったよ」
「それで包帯」
「はは」